Contents

1 誰もが抱える二つの後悔

誰もが抱える二つの後悔

「やって後悔するか、やらずに後悔するか」――。
きっとあなたも、この問いに直面したことがあるのではないでしょうか。

やりたい仕事に挑戦せず、安定を選んだ。
好きな人に想いを伝えられなかった。
新しい環境に飛び込む勇気が出なかった。

私自身も、何度もこの葛藤を経験しました。振り返ってみると、「やった後悔」は時間とともに学びや経験に変わっていくのに対し、「やらなかった後悔」はいつまでも心に残り続けています。

この記事では、心理学の知見や具体例を交えながら「やらなかった後悔」と「やった後悔」の違いを掘り下げ、迷ったときにどちらを選ぶべきかを考えていきます。

第1章「やらなかった後悔」とは？

「やらなかった後悔」とは、行動しなかったことに対する後悔です。

日常に潜む「やらなかった後悔」

「本当は旅行に行きたかったのに、お金や時間を理由に見送った。」
「本当は別の商品を試したかったのに、周囲の意見に合わせて諦めた。」
「本当は転職したかったのに、安定を理由に一歩を踏み出せなかった。」

こうした「行動しなかった選択」は、後になってから「もしあのとき挑戦していたら…」と繰り返し思い出してしまいます。

心理学が示す「機会損失の後悔」

心理学では、人間は「やって失敗すること」よりも「やらなかったこと」に強い後悔を感じやすいとされています。
「失敗」は修正できる可能性がある一方、「未挑戦」は取り戻すことができないからです。

長期的に残る「やらなかった後悔」

行動しなかった後悔は、時間が経つほど「幻の可能性」を膨らませます。
「あのとき決断していたら、もっと良い人生があったかもしれない」――この思いが消えずに残るのです。

第2章「やった後悔」とは？

一方で「やった後悔」とは、行動した結果、期待通りの成果が得られなかったときに感じる後悔です。

行動の結果としての後悔

転職したけれど思った環境と違った。
告白したけれど相手に受け入れてもらえなかった。
投資に挑戦したけれど損をしてしまった。

こうした経験は一時的には辛いですが、多くの場合は時間の経過とともに薄れていきます。

「やった後悔」は学びに変わる

「やった後悔」が「やらなかった後悔」と大きく違うのは、経験から得られる学びです。

失敗したから改善点が見える。
傷ついたから他人の痛みに共感できる。
失敗談がやがて笑い話になる。

行動したからこそ得られる視点やスキルは、次の選択をより良いものにしてくれます。

第3章「やらなかった後悔」と「やった後悔」の心理的な違い

「やらなかった後悔」と「やった後悔」は、感じ方や残り方に大きな違いがあります。

短期と長期での違い

やった後悔 → 短期的に強いが、時間とともに和らぐ。
やらなかった後悔 → 短期的には軽いが、時間が経つほど強く残る。

研究からの裏付け

心理学研究によると、人は“やったこと”より“やらなかったこと”を強く後悔する傾向があります（ギロヴィッチらの研究より）。
短期的には「行動して失敗したこと」の後悔が大きく感じられますが、長期的に心に残るのは「挑戦しなかったこと」「行動を避けたこと」に対する後悔だとされています。

この研究は多くの実験や調査に基づいており、「やった後悔は時間とともに経験や学びに変わる一方、やらなかった後悔は可能性を想像し続けるため消えにくい」という人間の心理的特徴を裏付けています。

第4章人生の場面ごとの「後悔」

恋愛・結婚

恋愛において代表的なのは「告白しなかった後悔」です。
例えば、学生時代にずっと好きだった相手がいたのに、「嫌われたらどうしよう」と言えないまま卒業してしまう。大人になっても「あのとき気持ちを伝えていたら」と思い返す人は少なくありません。

一方で「告白して振られた」後悔はどうでしょうか。
たしかに一時的な傷は深いですが、やがて「自分の気持ちに正直になれた」と前向きに捉えられることが多いのです。中には「振られたことがきっかけで、もっと合う人と出会えた」というケースもあります。

結婚に関しても同じです。
「本当に好きな人と結婚しなかった」後悔は長く残りがちです。家族や周囲の期待に合わせて結婚したものの、「やはり自分の気持ちを大事にすべきだった」と思い続ける人もいます。

仕事・転職

仕事は人生の大部分を占めるだけに、後悔も大きくなります。

ある人は「ずっと転職したかったけれど、安定を失いたくなくて挑戦しなかった」と振り返ります。結果的に会社の方針転換で希望しない部署に異動となり、「自分で選ばなかったからこそ悔しい」と強く感じたそうです。

逆に、転職して失敗することもあります。「思った環境と違った」「待遇が悪くなった」などのケースです。けれども、その経験を通して「次はこんな職場を選ぼう」と学びが得られたり、「本当に大事にしたい働き方」に気づく人も多いのです。

人間関係

人間関係で多いのは「感謝を伝えなかった後悔」です。
親や祖父母に「ありがとう」を伝えられないまま、もう会えなくなってしまった――こうした後悔は心に深く残ります。

一方で「言いすぎてしまった後悔」はどうでしょうか。
確かに関係が一度は壊れてしまうかもしれません。けれども、その出来事をきっかけに「人にどう言葉をかけるか」を考え直すようになったり、別の形で関係を再構築できたりする場合があります。

お金や挑戦

資格取得や新しい趣味への挑戦を「やらなかった後悔」もよく聞きます。
「お金がもったいないから」と受講をやめた資格講座。
「今さら始めても遅い」と思って挑戦しなかった楽器やスポーツ。
こうした小さな選択の積み重ねが、後になって大きな「もしやっていたら」に変わります。

一方で、挑戦して失敗した「やった後悔」は、少なくとも経験として自分に残ります。
「資格試験に落ちたけれど勉強した知識は役に立った」
「趣味は長続きしなかったけれど、新しい仲間と出会えた」
やって得られるものは失敗の中にも必ずあるのです。

日常の小さな選択

大きな出来事だけではありません。

友人の誘いを「忙しいから」と断ってしまったこと
家族旅行に参加しなかったこと
体調が悪くても「休む」と言えなかったこと

これらは当時は些細なことに思えても、後から「あのとき一緒に過ごしておけば」と強く心に残ることがあります。
小さな「やらなかった後悔」の積み重ねが、大きな後悔につながるのです。

第5章私自身の経験から学んだこと

私自身の人生を振り返っても、「やらなかった後悔」は鮮明に残っています。
特に心に強く残っているのが、子どものころに抱いた夢は騎手になること です。

騎手という夢を諦めた経緯

幼い頃、競馬場につれていってもらったことがきっかけで、「自分も馬に乗ってみたい。レースに出てみたい」と強く憧れました。
騎手が馬に跨る姿がとてもかっこよく、「こんな職業があるのか」と胸をときめかせたのを覚えています。

やがて本格的に調べてみると、騎手になるには非常に厳しい条件があることを知りました。
体重制限はもちろん、体格、体力、そして競走馬を扱うための強い精神力。
当時の自分にはどれも高すぎる壁に見えてしまい、「自分には無理だ」と思い込んでしまったのです。

挑戦する前に、気持ちにブレーキをかけてしまった。
「やりたい」と思いながら、一歩も動けずに終わってしまった。
これが私の大きな「やらなかった後悔」のひとつです。

競馬中継を見るたびに、「もしあのとき挑戦していたら、今の自分はどうなっていただろう」と胸の奥に小さな痛みが残ります。
失敗した後悔ではなく、挑戦すらしなかった後悔。これがどれほど強く残るものか、今になって実感しています。

騎手を諦め調理師を目指した理由

では、なぜ騎手とはまったく違う道である調理師になろうとおもったのか。
それは「料理」というもうひとつの魅力に惹かれたからです。

夢を諦めて落ち込んでいたとき、親が私の大好物のからあげを作ってくれました。
悲しい気持ちで食卓についたのに、ひと口食べた瞬間、不思議と心が軽くなり、自然と笑顔になれたのです。
「料理には人を笑顔にする力がある」その体験がきっかけで、「自分も誰かを料理で喜ばせたい」と思い、調理師になろうと決めました。

調理師から登録販売者へ

調理師として働き始め、料理を通して人に喜んでもらえる経験もしました。
けれども同時に、「もっと直接的に人の健康を支える仕事がしたい」という思いも芽生えていきました。
その結果選んだのが、現在の仕事である登録販売者です。

職業の選択を重ねるたびに、私は「自分は何を大事にしたいのか」と迷い続けてきました。
それは迷いの連続でもあり、同時に自分の心と向き合う旅でもありました。

後悔から得た気づき

騎手になれなかったのは、挑戦すらしなかったから
調理師になったのは、人を笑顔にしたい気持ちがあったから
登録販売者になったのは、人の健康を支えたい気持ちに気づいたから

こうして振り返ると、後悔や迷いも含めて「自分の選択」が今の私を形づくっています。
もしあのとき勇気を出して挑戦していたら、今の人生はまた違っていたでしょう。
でも「挑戦しなかった後悔」があるからこそ、これからは「やらなかった後悔」を減らしたい――そう思えるのです。

第6章後悔を活かすためにできること

小さな一歩を選ぶ

資格勉強をいきなり1時間やるのは大変でも、「まずはテキストを5分読む」と決める。
人間関係でも「長文メッセージを送るのは気が重い」なら、「元気？」と短い一言だけ送ってみる。

未来の自分に質問する

転職するか迷ったとき、「今の安定」を優先した人がいました。
けれども数年後に「10年前の自分は挑戦してみたかったのに」と語っていました。

他人に合わせるより、自分を選ぶ

ある人は親の希望で進学先を選びました。
卒業後「本当は違う学科に進みたかった」と後悔が残ったそうです。
一方で別の人は、自分の興味を優先して学科を選びました。結果的に就職では苦労したものの「自分で選んだから納得できる」と語っています。

第7章後悔を成長に変える

「後悔＝悪いもの」と考えがちですが、実は後悔は次の選択をより良くするための“材料”にもなります。
ここでは、「やった後悔」「やらなかった後悔」をどう成長につなげられるのかを具体的に見ていきましょう。

1. 「やった後悔」を学びに変える

行動して失敗した後悔は、一時的に辛いですが必ず学びを残します。

恋愛：「告白して振られた」 → 自分の気持ちに正直になれた証拠。
仕事：「転職で失敗した」 → 自分の適性や譲れない条件を知る機会。
お金：「投資で損をした」 → お金の勉強を始めるきっかけに。

👉 大事なのは「なぜうまくいかなかったのか」を振り返り、次の行動につなげることです。
失敗体験を「記録しておく」「人に話す」ことで、ただの後悔が“再現性のある学び”に変わります。

2. 「やらなかった後悔」を未来へのエネルギーに変える

やらなかった後悔は、「次は同じことを繰り返さない」と決意するチャンスです。

「本当は資格試験を受けたかったのに受けなかった」 → 今からでも受ける準備を始める。
「行きたい場所があったのに行かなかった」 → 週末にまず近場に行ってみる。

👉 ポイントは「小さな代替行動」で後悔を埋めることです。
過去は変えられませんが、「これからの選択」で補うことは可能です。

3. 後悔を前に進む“指標”にする

後悔は「本当に自分がやりたかったこと」を映す鏡です。

「なぜこれを後悔しているのか？」
「そこに隠れている本当の望みは何か？」

例えば、私が「騎手にならなかった後悔」を今でも覚えているのは、「挑戦する前にあきらめた」ことへの悔しさが根底にあるからです。
それ以来、私は「挑戦する前にあきらめない」ことを人生の指標にしています。

4. 読者への実践ステップ

今日、ずっと後悔していることを1つ書き出してみる
それを「学びにできること」「次に活かせること」に分ける
小さな行動（連絡を1本入れる、申込みフォームを開くだけでもOK）を起こす

👉 こうして後悔を“未来の行動指針”に変えることで、後悔はただのマイナスではなく、人生の大きな資源になります。

第8章後悔を成長に変える

後悔そのものは悪いものではありません。
むしろ、後悔から学びを得て次の選択に活かすことができれば、それは未来をよりよくする材料になります。

「やった後悔」は学びの源泉

転職して失敗した → 自分の適性を知り、次の職場で活かせる
恋愛で振られた → 自分の気持ちに正直になれた証拠
新しい挑戦で挫折した → 失敗体験が自信と経験値に変わる

「やらなかった後悔」も気づきに変えられる

過去に挑戦しなかった自分を責めるのではなく、
「次はやらずに後悔しないようにしよう」と未来の選択に活かすことができます。

第9章自分を選ぶ勇気

結局のところ、後悔を減らす最も大きな方法は「他人に合わせる選択ではなく、自分を選ぶ勇気を持つこと」です。

誰かにとっての正解ではなく、自分の気持ちに正直になる
周囲の目より、自分の納得を大事にする
未来の自分が胸を張れるかどうかを基準にする

自分を選ぶ勇気は簡単ではありませんが、その積み重ねが「後悔しない人生」へとつながっていきます。

まとめ

後悔は避けられません。
でも、どうせなら 「自分を選んで後悔する」人生 を歩みませんか？

行動して失敗する後悔は、学びや経験に変わる
行動しなかった後悔は、未来まで残り続ける
だからこそ「小さな一歩」でいい、自分を選ぶことから始めよう

今迷っていることがあるなら、ぜひ「やらなかった後悔」を残さない選択をしてください。
未来のあなたが必ず、その一歩を誇りに思えるはずです。